【H×H】〇〇より速い?ネテロは正拳突きをどこまで極めたか

放出系のコジマです。

『HUNTER×HUNTER』ネテロは、巨大組織・ハンター協会の会長にして武道の達人。作中で数多くの型破りな行動を起こしてきたネテロだが、特にまだ若かりし頃の彼の修行エピソードはファンならば誰もが知るところである。

知らない人のために説明しよう。ネテロ46歳、彼が武術に限界を感じたときのこと。悩みに悩んだ結果、ネテロは己を育ててくれた武術への感謝に辿り着き、「一日一万回 感謝の正拳突き」を敢行する。

それは、気を整える・拝む・祈る・突くの一連の流れを毎日1万回繰り返すというもの。当初は1回あたり5~6秒を要し、全て終わるまでに18時間かかったというが、ひたすら繰り返すうちに動作は速度を増し、しまいには1万回を1時間でこなせるまでになる(かの有名な「かわりに祈る時間が増えた」のシーンはここ)……。

さて、原作を読んだときは「ネテロすっげえ」で流してしまったところだが、1時間はめちゃくちゃ速い。ちゃんと考えてみよう。

だんだん人間をやめていく

感謝の正拳突き1回を6秒とすれば、その1万倍は60,000秒=16.7時間。流石にこれだけ長時間だと食事も必要だろうし、18時間という原作の記述は妥当だ。

もし正拳突き1万回を1時間=3600秒で行うと、1回当たりの時間は0.36秒!やってみれば分かるが、普通なら1秒間でできる正拳突きはせいぜい2回。これよりもさらに速いテンポで、しかもその前に拝み祈らねばならないのだから、もうめちゃくちゃな速さだ。

拳の速さはともかく、「超速の祈りに意味はあるのか……?」と思うかもしれない。ところが、ネテロの念能力(※)「百式観音」は「祈り」をトリガーとして攻撃を繰り出す。極限まで速い祈りによってネテロの攻撃は「避けられない」。感謝の正拳突きは確かにネテロの強さにつながっている。

※念能力……身体から発せられる「オーラ」を操る能力。身体を強化したり特殊な技が使えたりする。

音と人間味を置き去りに

実は、「1万回が1時間で終わるようになる」以上のインパクトを、読者は直後のシーンで受けることになる。ネテロが正拳突きを空に放つと、「パン!」という音が遅れて聞こえる……「ネテロの拳は音を置き去りにした」のだ!

……スゴイのだが、よく分からない。遅れてくる云々以前に、そもそも正拳突きだけでパンと音は鳴らんだろう。

空気中で動く物体によって鳴る音としては、例えばバットを空振りしたときのブンッという音がある。これはバットの周囲の空気の流れによるものだが、正拳突きのように空気抵抗の少ない動きで同じような効果が得られるかは微妙だ。

だとすると、他に思いつくのはソニックブームだろうか……?飛行機が音速以上の速さで飛ぶときに発生する衝撃波のことをソニックブームと呼ぶ。この衝撃波は大きな音を伴うので、拳が瞬間的に音速を超え、そのときに音を発すると考えれば、一応は説明がつく。

が、もちろんすごい速さで拳を突き出すことになる。通常の正拳突きが「0.1秒で拳を1m先に突く」場合、秒速10m。一方で音速は秒速約340mなので、仮に瞬間の速さであっても音速超えは大変だ。でもネテロならやりそう。

全部「念」で解決!

数年間毎日続けた「感謝の正拳突き一万回」。その成果としてネテロは音を凌駕する「突き」を手に入れた。

そんな突きをしたら腕が肩から吹っ飛びそうだが、念で肉体を強化すれば大丈夫なのだろう。「絶対にありえないけど念能力があればできる」と思ってしまう、それが『HUNTER×HUNTER』である。

京都大学大学院情報学研究科1回/Twitter→@KojimaQK