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こんにちは、服部です。

大学生活やサークルの活動では、文書やスライドを作ることがとても多いです。プレゼンや、クイズの演出などなど。

そして、迷うのがフォントの選択。最近の僕は、特に凝らないときは「游ゴシック」で揃えていますが、みなさんはどんなこだわりがあるでしょうか。 游ゴシック体

ゆるい雰囲気を出したいときに特によく使われるのは、こちらのフォントです。

どこかで見たことがある、という方も多いでしょう。こちらはリコーという企業さんが発売している「HG創英角ポップ体」といいます。長い名前ですね。

今回は、そんな「ポップ体」についてのお話です。

(※全文ポップ体にしたかったのですが、どうやらQuizKnockが使用している執筆環境が対応していないらしいです。残念!)

「創英角ポップ体」にもいろいろ

「Word」や「Excel」のフォント選択画面をよく見てみると、「HG創英角ポップ体」「HGS創英角ポップ体」「HGP創英角ポップ体」と、創英角ポップ体は3種類あります。

HGは「High Grade」(ハイグレード)の略とのこと。また、「創英」はもともと「創英企画」という会社がデザインしたことに由来するとのことでした。つまり、「ハイグレードな、創英企画がデザインした角ポップ体」という具合です。

では、「HG」「HGS」「HGP」の違いは何でしょう。

上から順に、1.HG、2.HGS、3.HGPです。

1のHGと2のHGSはひらがなの部分が、2のHGSと3のHGPは英字部分が同じですね。

これらのフォントは、文字の幅について異なる設計がされています。

1のHG創英角ポップ体は、全ての文字が同じ幅で出力されます。これを「等幅フォント」といいます。半角文字はすべて、ちゃんと全角の半分の長さになっていますね。

対して、3のHGP創英角ポップ体は、文字によって幅が異なる「プロポーショナルフォント」になっています。「っ」や「i」は細く、またアルファベットの大文字は小文字より太くなっています。

HGとHGPを組み合わせたのが、2のHGS創英角ポップ体です。ひらがななどの全角文字は等幅フォント、アルファベットなどの半角文字はプロポーショナルフォントになっていますね。

「MSゴシック」や「MS明朝」のMSは、パソコンを作っている「Microsoft」の略です。他にも、「メイリオ」というフォントがありますが、これは「明瞭に見える」ということから、「meiryo」が由来になっています。

おなじみのフォントの意味を探ってみるとおもしろいかも。

ポップ体はほかにも

「創英角ポップ体」の話ばかりしていますが、「ポップ体」と呼ばれるフォントは他にもあります。

「創英角ポップ体」と同じリコーが発売しているのが「創英丸ポップ体」。全体的に丸みを帯びた字になっています。

リコー一書体販売 / Via .industry.ricoh.com 

他に、「筆ぐるめ」などのソフトに搭載されているのが「富士ポップ」

5が等幅の「富士ポップ」、6がプロポーショナルの「富士ポップP」です。

他にも、フォントはたくさん開発されています。いろいろ探してみてはいかがでしょうか。

ポップ体ポップ体と言いますが、「ポップな雰囲気だからポップ体」というわけではありません。

ポップ体のポップは、商品のおすすめポイントを示した飾り付けの「POP」のこと。本屋さんでよく見かけますね。POPによく使われているので「ポップ体」と呼ばれるようになりました。

地味にスゴイ「創英角ポップ体」

ポップ体をいろいろと紹介してきましたが、やはり最も身近なのは「創英角ポップ体」。Microsoft Officeなどのソフトに標準搭載されているので、使ったことがある方も多いでしょう。

あまりに使われ過ぎて安直なフォントにも見えてしまいますが、そんな創英角ポップ体には意外と侮れない部分があります。

なんと、「JIS X 0213:2004」に対応しているんです!

 

……と言われても、大半の方にとっては「なんのこっちゃ」でしょうから、QuizKnockの解説の出番なわけです。

JIS(日本工業規格)では、漢字を様々な観点によって「第1水準」から「第4水準」までに分けています。一般に「第1水準」に含まれるほうがよく使う漢字で、数字が上がるほどマイナーな漢字が含まれます。 (こちらのドリルでは、第3水準の漢字を出題しています。クソムズ!)

そして、JISで決められた各規格では、どの水準の漢字までが収録されているかがそれぞれ異なります。

たとえば、「JIS X 208」という規格は第2水準までの漢字を、「JIS X 0213」は第4水準までの漢字を収録。漢字以外のアルファベット等についても、収録範囲がそれぞれ異なります。

今のところ、第4水準の漢字を定義している規格はJIS X 0213のみですから、0213が最も上位(というと語弊はありますが)の規格ということになります。

そして、ポップ体で「JIS X 0213」をサポートしているフォントというのが、ほぼ「創英角ポップ体」シリーズのみなのです。

創英角ポップ体で第4水準漢字を見てみましょう。

「槑(バイ)」は「植物の梅」、「毚(サン、ゼン)」は「ずるがしこいウサギ」、「丫(ア)」は「二股に分かれた道」、「毈(すもり)」は「巣守りの卵」を意味する。

果たして東大の漢字王も押さえているんだろうか、という難読漢字がポップ体に……。クイズ番組でこんなフォントが使われていたら、思わず吹き出しそう。

これらを、JIS X 0213に非対応のフォントで表記しようとすると、下の画像のように、強制的に明朝体になってしまいます。ここまで来ると、マイナー漢字 VS デザイナーの様相を呈してきますね。

創英丸ポップ体や富士ポップは、残念ながらJIS X 0213に非対応。

……もちろん、第4水準の漢字をポップ体で書くかと言ったら、そんな機会は滅多にないのですが。

いかつくて見慣れない漢字もポップ体で書けるというのは、ひょっとしたら何かの場面で役に立つのかもしれません。

おわりに

今回はポップ体からアプローチしましたが、他にもゆるいフォントや、スタイリッシュでかっこいいフォントなど、様々あります。

ぜひいろいろ調べて、お気に入りのフォントを見つけてみてはどうでしょうか。

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この記事を書いた人

Kosuke Hattori

東大経済学部を卒業しました。各記事が学びと発見への新たな入口になればと思います。よろしくお願いいたします。

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