「日本の首都が東京」、法律で定まってないって知ってた?

こんにちは、服部です。

先日、用があって地元・名古屋に行っていましたが、名古屋駅周辺の変化は目覚ましいですね。昨年以降、大名古屋ビルヂング、JRゲートタワー、JPタワーなど次々と高層ビルが開業して、駅周辺の人出も増え、「大都会」の風格を増している……!

このままいけば、そのうち日本の中心・首都として名古屋が君臨する日も近い!

と、つボイノリオの『名古屋はええよ!やっとかめ』の歌詞のようなことを言ってみました。

もちろん、建物がいくつか増えたのを都会化というのは安直が過ぎますが、たとえばアメリカのワシントンD.C.のように、首都が最大の都市でない例はあります。

どうやったら、名古屋は東京を首都の座から追い出せるのでしょうか。

そもそも、日本の首都は本当に東京?

東京を首都と決めているものは何でしょうか。

実は、「日本の首都は東京である」という内容を直接的に定めた法律は現在ありません。ですから、たとえば「名古屋を日本の首都とする」という法律を定めても、矛盾はないわけです。

もともと、明治時代になって京都から江戸へ遷都したときは、天皇の詔勅(しょうちょく)によって東京が都であると決まりました。近代的な法律制度は後になって整備されましたが、戦前は詔勅が優先であったので、法律で首都を定める必要がなかったのです。

1868年、天皇が江戸を「東京」とする詔勅を発し、翌年に皇居を移した。

天皇が主権を失った戦後、1950年に定められた首都建設法には以下の文言がありました。

第一条 この法律は、東京都を新しく我が平和国家の首都として十分にその政治、経済、文化等についての機能を発揮し得るよう計画し、建設することを目的とする。

しかし、この首都建設法は1956年に廃止されています。後を受けて成立した首都圏整備法の文言は、あたかも東京都=首都が自明であるかのようです。

第二条 この法律で「首都圏」とは、東京都の区域及び政令で定めるその周辺の地域を一体とした広域をいう。

「東京の周辺を首都圏とします」であって、「東京を首都とします」ということではありません。他にも同様の条文がある法律はありますが、いずれも東京が首都であるという定義には触れていません。

つまり、東京都は法律上は首都と決められていない「事実上の首都」であるわけです。

どうしたら首都と認めてもらえる?

どうやら、法律に書いてしまえば東京に勝てるかもしれないわけです(※もちろん他にも必要な手続きはあるでしょうが、ここでは割愛)

しかし、法律に「名古屋が首都」と書くには、国民の多数に「名古屋は首都としてふさわしい!」と考えて認められ、国会で賛成される必要があります。

名古屋は日本の真ん中あたりにあり、地理的には問題ありません。また、トヨタ自動車をはじめ大企業が集積し、交通の要衝でもあり、ふつうの大都市としての機能は十分あると思われます。

では、東京のように「首都」になるために、経済や文化の集積以外では何が足りないのでしょう。

首都を定める要素の1つに、国の政治機能の所在があります。

現在、国の三権であるところの立法・行政・司法を持つ機関、国会・内閣・最高裁判所を全て有することで、東京はただの大都市ではない、日本唯一の首都としての地位を広く認められています。

また、外国の大使館はそうした政治機能との連絡に便利な東京に置かれますから、国際的にも、政治機能が集まる都市が首都として認められることになります。

つまり、これらの三権が名古屋に移れば、名古屋は首都であると堂々と宣言できるかもしれないんです。

海外の例

海外の一部の国では、三権がそれぞれ異なる都市に置かれている例がいくつかあります。

たとえば、ドイツでは、憲法(ドイツ連邦共和国基本法)でベルリンが首都と決まっています。しかし、国防省などいくつかの行政機能は旧西ドイツの首都だったボンに今も残っていますし、司法を司る連邦憲法裁判所は、カールスルーエに位置しています。

ドイツは第二次大戦期のファシズムによる席巻への反省から、権力分散の考え方が強いようです。

また、南アフリカ共和国では、イギリス植民地時代に首都が決められました。しかし、その際にどこに首都を置くかで揉め、妥協の結果、行政府プレトリア、立法府ケープタウン、司法府ブルームフォンテーンに三分され、今に至ります。

これらの例は、歴史的な事情や、三権を違う都市に置くことで政治のバランスを図ったりする目的があります。もし日本でそういう機運が高まれば、名古屋に一部の政治機能を移すこともあるかもしれません。

でも、名古屋は首都になれない

ここまで紹介してきましたが、持論としては、名古屋が日本の首都となる可能性は残念ながらとても小さいと考えています。

そもそも、首都の東京からの移転が検討されるのは、東京が何らかの打撃を受けて機能しなくなった後か、近い将来に高い確率で東京が打撃を受けるだろうと考えられたときのどちらかでしょう。

よく想定されるのは大地震。

東京に大打撃を与えるような地震は、首都直下型地震か、東海・東南海地震でしょう。この2つ、どちらも将来の発生確率は高いと推測されていますし、連動する可能性も否定できません。

名古屋に首都を移転したとして、これらのリスクを逃れられるでしょうか。東海・東南海地震は、東京より名古屋に大きな打撃を与える可能性すらあります。そういう危ない場所に首都を移転する意味がないのです。

結局のところ、東京に次ぐ「副首都」として最有力なのはやはり大阪府で、府内に「副首都推進本部」が設けられています。

大阪は、名古屋に比べて地震のリスクは小さめで、東で地震があっても影響は少ないと考えられるが故の副首都ということでしょう(大阪のほうが都会だからでは断じてないと思いたい……)。

◇参考文献
法制執務コラム – 参議院法制局
新時代Vol.69 – 国土交通省

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東大経済学部3年・クイズ研究会所属の服部と申します。知識も経験もまだまだ浅い青二才ではありますが、学びと発見への新たな入口の1つとしてお手伝いできればと思います。よろしくお願いいたします。

 

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