「共感するな! 自分の考えを語るな!」東大入試現代文のメッセージ

毎年、2月25日・26日には国公立大学の二次試験が実施されます。

当然ながら2017年も、多くの受験生が将来への希望と不安を携え、入試に挑んでいったことでしょう。

QuizKnockのライターの多くが所属する東京大学でも2017年度入試が実施され、約1万人の受験生が25日・26日と奮起したことかと思われます。そこで、今回は日本最難関とも言われる東京大学で出題される入試問題がどのようなメッセージを持つのか、少し考えてみたいと思います。

誰もがスマホなり本なりで「文章を読む」時代ですから、この記事では「文章を読む」ということについて、東大の入試問題を通して多くの人の参考になるようなことが書けたらと思っています。

入試問題は、その大学がどんな学生を求めているのかを示したメッセージカードです。どの科目でどんな問題が出され、どのような配点になっているのか。当然ながらこのバランス次第でどんなタイプの受験生が受かりやすいのかは変わってきます。

ですから、受験生は自分が行きたい大学がどんな学生を求めているのか、過去問にじっくり取り組んで考えて、それに見合った対策をするというのが受験勉強のもっとも上手いやり方かと思います。ですが、これは実際にやろうとすると大変難しいです。

ということで、今回はあえてそれにチャレンジしてみましょう。取り上げるのは某予備校の某先生が大ブレイクしたことでも知られる東大の現代文。東大は、問題文を通じてどんなメッセージを受験生に送っているのでしょうか。

目次

東大現代文とは

東大現代文の形式

現在実施されている東京大学の二次試験の現代文では、理系が1題、文系が2題出題されることになっています。「国語」という括りでみると、この現代文のほかに、理系も文系も古文・漢文を1題ずつ解くことになります。

そして出題される文章のジャンルですが、理系と文系に共通して出される1題は基本的に評論から、文系にのみ出題される1題は主に小説やエッセイから題材が取られています。

今回の記事で扱うのは、理系と文系に共通して出題される1題。この問題は例年4ページ程度の評論文を読んで、記述問題を5問、漢字の書き取り問題を3~5問解く形式になっています。ところが、2017年の入試から記述の形式が変更となり(記述が変更されることはここ10年以上ありませんでした)、記述問題が4問に減ったのでした。

そんな記述問題ですが、基本的には同じような条件で出題されており、そのパターンは二つに分けることができます。つまり、文中の少しわかりにくい部分に傍線が引かれて、

(1)「◯◯」とは、どういうことか。(傍線部の内容を説明させる問題)

(2)「◯◯」とあるが、なぜか。(傍線部の主張が成立する根拠を説明させる問題)

という具合に解答を書かせる問題です。多少のバリエーションはありますが、ほとんどの問題がこの二つのパターンのどちらかに分類することができます。

さて、このような記述問題を解くときに、肝心の文章にどう取り組めばいいのでしょうか。それについてのこの記事での考え方は、次のページをまたご覧ください。ここでは次に、2017年の問題で出題された文章についてご紹介します。

2017年入試の出典

理系と文系に共通で出題される現代文では、基本的に毎年評論文が出題されています。どんな著者の文章が採用されるかは、傾向を見出そうと思えば見出せそうな気もしますが、その年の作問者の趣味も強いのではないかな、と思います。

そして、2017年に文系と理系の共通問題で出題されたのは、伊藤徹『芸術家たちの精神史』という本の一節でした。

この本は、出版社のサイトでは次のように紹介されています。

芸術家達の作品が映す近代日本の精神を考察。高橋由一から岡本太郎、寺山修司まで、芸術家たちが造形してきた近代日本の精神と、原発問題に象徴されるテクノロジーの暴走、一見かけ離れた両者の交叉点を哲学的に探る。

ふむ……。分かったような、分からないような。とにかく、日本のある時代の芸術家たちが持っていた考え方のようなものと、まさにいまの日本で問題となっている原発やなんやかや、それを引き起こしたテクノロジーの暴走とのあいだに、何か共通点を見つけるような話のようです。

とはいえ、ここではそんな細かいテーマについて具体的な知識が必要なわけではありません。知識は文章を読むときの補助輪にはなりますが、あまり自分の知っていることにこだわってしまうと前には進めません。現代文では、自分の知識よりも与えられた文章にあくまで忠実に

だから、こんな見知らぬテーマの文章だから点数が取れないといったことにはなりません。興味を持ったらそのテーマについて勉強しておくことも足しにはなるでしょうが、解答は、あくまでそのとき与えられた文章で述べられている内容「だけ」で完結するようにすればよいのです。

それでは、いよいよ次のページで東大の現代文を読むためのポイントと、そのポイントが重要である根拠を述べることとしましょう。

次のページから、今年東大で出題された記述問題のポイントを解説。1/4

QuizKnock編集部
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