ちょっともう訊けないレベルに浸透した”AI”を京大生が易しく解説

コジマです。

『アトム ザ・ビギニング』という漫画を原作としたアニメが最近まで放送されていたのだが、これが面白い。

手塚治虫の『鉄腕アトム』を原案に、若き頃の天馬博士とお茶の水博士が”心優しき科学の子”アトムを生み出すまでの物語を描く。

作中で2人は、自我をもち心があるかのように振る舞う人工知能「ベヴストザイン」を開発する。

「アトム」に限らず、数多あるSFに登場してきたロボット達はその場に応じた行動をとってくれる。場合によっては感情をもったり人間の心を理解してくれたりもする

これは空想の話だが、片や現実においても、将棋や囲碁で人間を打ち負かすソフトが登場し「人工知能が人類の能力を上回った」などと持てはやされつつある

そんなブームに乗じて、「AI搭載!」だとか「人工知能が○○してくれる!」だとかを謳った商品を見かけるようにもなった。

ブームだから……と安易に手を出して実は大したことがなかった、というのは悲しい。冷静になって
「AIって何?」
「どこまでがAIなの?」
「実際何ができるの?」
「結局人間を追い越したの?」
この辺りを理解した上でブームに乗っかろう。

AIって何?

そもそも、人工知能(AI)という言葉自体がかなり曖昧な理解のまま使われている。

いろいろな辞書や辞典を調べてみると、おおよそ「人間の知的な活動をコンピューターにさせる技術」を指して「人工知能」というらしい。

この定義でいえば、フィクションの世界でよく目にする「人間らしい振る舞いをする」「人間と会話ができる」などはAIの一部に過ぎず、実際はもっと広い意味を表すことになる。

どこまでがAIなの?

すると、問題は「人間の知的活動」が何か、という話になる。

計算する、記憶する、などは人間の知的活動といえるかもしれないが、これを行うプログラムは普通AIには含めない(単なる計算や記憶は本来のコンピュータの仕事なので)。

例えば「症状から病気を推論する」「囲碁で最適な手を選ぶ」のような、コンピュータが人の指示を受けずに何かを「決め」たり、どのように決めるかを「学ん」だりできるプログラムをAIと呼ぶことが多い。

それでは「人がいないことを検知してスイッチを消すエアコン」はAIか?
病気の判定や囲碁打ちに比べれば単純な「機能」ではあるが、スイッチのオンオフを「決め」ているのだから、AIでないとはいえないだろう。

というわけで、世間でAIと呼ばれうるものは結構広い。
AI搭載だからといって、中でAIが「温度を下げますか?」とか「外出なさるんですね?スイッチ切っておきます」とか言いながら動いてくれるとは限らない。

実際何ができるの?

さて、AIが様々な意味をもつ一方で、今盛んに研究されているのはその中の一部である。上の図の「現実的なAI」の部分だ。

大量のデータ(ビッグデータ)を集めディープラーニングという手法で学習することで、AIの判断力が飛躍的に上がることがここ数年で分かってきた。

話題になった囲碁AI「Alpha Go」もディープラーニングを使っているし、「画像中の物が何であるか判定する」とか「話し声から単語を認識する」とかいった今までは解けなかった問題もディープラーニングで解けるようになってきている
今後数年間でディープラーニング関連の商品が増えてくる、はず。

一方で、一般に想像されがちな「感情を理解する」とか「自分で行動してくれる」とかいったAIについては未だ研究段階にある。

「ディープラーニングならそのうちできるんじゃ?」と思うが、そう簡単ではない。
その理由として、ディープラーニングを使うためには大量のデータが必要だが、「感情」や「行動パターン」といったデータは集めにくいし、パターンが多すぎてキリがないのである。

例えば「感情を理解する」ために、表情や声のトーンから喜び・悲しみ・怒り……といった感情を判定するAIを作ることにする。
これをディープラーニングでやらせようとすると、様々な表情や声のトーン、それがどの感情に対応するか、のデータを大量に集めなければならない。

というわけで、先程の図で「現実的なAI」から「想像しがちなAI」に進むには違うアイデアが必要になりそう、というのが現状なのだ。

なお、図では最終目標が人間とAIの共存みたいになっているが、AIに感情をもたせることに対し、研究者の間でも是非が分かれていることは補足しておく。「AIが人類に反逆する」……というとそれこそSFの話に思えてくるが、その他「AIが仕事を奪う」「AIが未知のものを見つけてしまう」といった懸念も含め”起こり得ること”として議論がなされている。

結局人間を追い越したの?

「AIが人間を超えた」といわれることがあるが、あくまでも囲碁という複雑なゲームのひとつでAIの能力が上回った、ということに過ぎない。

今のAIは、大量のデータから特徴的な法則を見出すことにおいては人間よりも優れているかもしれないが、一方で人間が当たり前にできてAIにはできないこともまだまだ多い。

安易にどちらが強い・すごいと結論付けることはできないので、決して惑わされないようにしよう。


AIがどこまでできて、まだ何ができないのか。冷静に見極めて、恩恵に預かれるところは積極的に預かっていきたい。

「職業が奪われる!」という声もあるが、本当にAIが勝手に仕事をするようになるのはまだ先。当分はAIを使った「便利な道具」が現れるのを期待しよう。

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京都大学工学部情報学科4回、コジマです。出す側として・答える側として、「エンターテインメントとしてのクイズ」を目指しています。

 

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