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いよいよ本論です。付いてきてくださいね!

テクニック:プラスワンで差をつけろ

ここからは、採用確率を上げるために、作問に使える「より実践的なテクニック」を見ていきます。

以下引用する問題は全て、『ナナマルサンバツ』コミックス1巻に実際に収録されている、「超名作問題」です。採用基準よりもさらに上の問題と考えていいでしょう(これらはプロが作った渾身の問題ですから)。決してハードルを上げる目的で引用するのではない旨ご理解ください。
元の問題はこちらのページから見ることができます(でもちゃんとコミックスは買ってくださいね)。

内容を磨こう 問い方はそれで良い?

日本最南端の有人島があるのはどこの都道府県? 沖縄県(問3)
杉基イクラ著『ナナマルサンバツ』1巻(2011) 角川書店 pp14-15

日本最南端の有人島は沖縄県の波照間島です。ではなぜこの問題は「波照間島」でなく「沖縄県」を答えにした、つまり「属する都道府県を答えにするという視点を持った」のでしょう?

僕は2つの理由を推測します。まず「波照間島」という名詞を聞くのは難しすぎると思われたため。「波照間島」を答えにする問題が作れず、都道府県を聞くことにした、と考えられます。

もう1つの理由が、問題に深みを出すため。最南端の有人島が沖縄県なのは当たり前では? と思うでしょう。実はこの問題の背景には、次の類問があるのです。

日本最南端の島があるのはどこの都道府県? 東京都

東京都の無人島、沖ノ鳥島が日本最南端です(この問題は「東京」が答えになる意外性を持っており、名作クイズの1つに数えられています)。
日本最南端の島は東京都。では有人島に限ったらどうなるか、君は知ってる? というのが、この問題の趣旨です。

この問題を見た人は、おそらく沖ノ鳥島や東京都のことを思い出します。そしてその考えを棄却し(無人島ですから)、それから解答するでしょう。
そして答えの「沖縄県」を聞いて、「なーんだ、それでいいのか」と安堵するのです。この安堵という感情の動き(=感動)を引き出すことが、本問では出来るのです。

「波照間島」でなく「沖縄県」を問う広い視点を持つことで、単に島の名前を問うだけのクイズから、相当な深みを持つ問題になりました。
ここまでのテクニックを弄する必要はありませんが(かなり極端で高度な例を持ち出しています)、自分の作ったクイズを、「問い方はそれでいいのか」という観点から見直すことは必要でしょう。

言葉を磨こう 言葉の選択はそれで良い?

音楽の三要素といったら、メロディ、リズムとあとひとつは何? ハーモニー(問6)
杉基イクラ著『ナナマルサンバツ』1巻(2011) 角川書店 pp14-15

次の問題と読み比べてください。

音楽の三要素は、メロディ、リズムと何? ハーモニー

どちらも内容的には同じ問題です。しかし、コミックスの問題は「といったら」「あとひとつは」といった上手い言葉回しを選んでいます。
クイズは文芸です。文章を使っている限り文芸です。言葉にはいくら気を使っても足りません。
そして文芸ですから、ただ1つの明確な答えというものは存在しません。言葉の選択の連続を通じ、よりよいものを作り上げる、これが我々のすべきことです。

ではここで重要な作問のヒントを。それは音読。実際にアニメで読まれる文章を、聴覚的な音読で確かめる。これは非常に有用なツールです。
何度も音読をし、納得のいく文章を作りましょう。

これが最上級の良問だ

春のおとずれを感じさせる花、サクラ、ウメ、モモはすべて何科の植物? バラ科(問4)
杉基イクラ著『ナナマルサンバツ』1巻(2011) 角川書店 pp14-15

僕が採用担当だったら二重丸をつけてゴーサインを出す、素晴らしい問題です。

まず「春のおとずれを感じさせる花」という前置きが素晴らしい。この前置き、無くても問題は成立します。ではこれが置かれた理由は?
それは「春のおとずれ」という言葉が強烈なイメージ惹起能力を持つからです。聞いた人の脳内は春の景色のイメージでいっぱいになります。単に「春の花」とせず「春のおとずれを感じさせる花」とすることで、長かった冬が終わり、喜びの季節がやって来た、そこまでの風景を解答者にイメージさせることができるのです(繰り返しますが、クイズは文芸です)。
さらにこの前置きは3つの花の共通点です。3つの花を並べる必然性をも生み出し、問題に秩序を与えています。

次に3つの花が並びます。解答者の頭の中には華やかなイメージが浮かんでいます。そこから急転直下、結びは「何科の植物」。理科の問題に早変わりする芸まで見せます(理科の問題をここまで飾り立てて作った、というのが正しいでしょうか)。
キレイな植物を見て、「何科」かを問う、この内容の切り口が鮮やかです。  

ハードルが上がってしまったでしょうか……。
しかし、重要なのは2つだけ。「内容に気をつける」「文章に気をつける」、これだけ。
そのために「問い方を考える」「音読」は非常に有用なツールとなります。

最後の秘技を、あなたに。(3/4)

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この記事を書いた人

河村・拓哉

河村です。どうも。日頃は東大クイズ研で各種クイズと戯れています。常識に囚われないことを目標に、日々常識を学ぶ毎日です。良品も珍品も出していきたいと思ってはいるのですが……(記事一覧で実態を確認だ!)

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