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河村です。どうも。

この連載、ありがたいことに記念すべき2回目を迎えました。ここまで来ることができたのも読者の皆様のおかげです。本当にありがとうございます。


今日は「宇宙人」について考えていました。

宇宙人は今何してるかなー、などと考えていました。

きっかけは、当サイトQuizKnockがこの1週間で迎えた新ライター3氏(豊岡S.O.鶴崎)です。

彼らの書いた記事を読んで、僕は気付きました。彼らが宇宙人であることに。

それぞれのデビュー記事を読み返します。

  • 豊岡氏の『ミル自伝』。これは「地球人の観察」です。いかにも宇宙人が書きそうです。
  • S.O.氏の『系外惑星』。宇宙に詳しい人しか書けません。いかにも宇宙人が書きそうです。
  • 鶴崎氏の『アフリカ史』。これは露骨な「地球人アピール」。逆に宇宙人が書きそうです。

これはもう完全に宇宙人です。全員宇宙人です。気付いてしまった僕はナントヤラ光線で消去されてしまうでしょう。

この連載が来週無かったら、つまり、そういうことです。 (この記事単体が無くなってたら単に誰かに怒られたということです)

もはや身近な存在である宇宙人。今日は、彼らについて調べることにします。

そういうわけで、本を買ってきました。科学の視点から書かれたガチの学術書です。オカルト本でないことを強調しておきます。

今日は、「QuizKnockのライターには宇宙人が紛れ込んでいる」という仮説を、科学的考えをもとに真面目に検証したいと思います。

そもそも、宇宙人っているの?

今のところ地球人はこの問題について肯定的な証明も否定的な証明もなしえていません。まだ地球人には無理です。

なので科学者は、宇宙にある文明の数を予測することにしました。宇宙人が何種類いるか計算で出しちゃおう、という話です(より正確には、何種類の宇宙人とコンタクトが取れるか? ということを考えています)。

タネ本の筆者であるウルムシュナイダー(2002, p.301)の計算では、その数4000。

……4000!?

いるかいないかのレベルを超えて、4000です。4000といえば大体、紅白歌合戦でおなじみのNHKホールの収容人数。NHKホールの席が全部バラバラの種類の宇宙人で埋まるのを想像してみてください。そんな濃縮されたカオスが実現可能だと、科学者は主張しているのです。

宇宙人は地球に来てるの?

まだ実物の宇宙人を捕まえるなりしていないので、この問題も証明できません。

なのでここでは、「自分が宇宙人だったら地球に行きたいかな?」ということを考えることにします。

さてさて、あなたもわたしも宇宙人。文明はアホほど進化しています。地球の文明なんてゴミです。

ここで地球文明のゴミカス具合に触れておきましょう。地球の歴史46億年の中で、少なくとも文明と呼べるものが存在したのはここ4000年くらいです。電波を使えるようになってからを文明とするなら、その長さは100年ほどです。

では次に、ワレワレの宇宙文明がどれだけの時間発展を続けてきたかに思いを馳せましょう。ウルムシュナイダー(2002, p.304)は、宇宙文明は、最も古いもので10億年、平均でも1000万年の歴史を持つと予想しました。

考えてみましょう。100年分の技術vs1000000000年分の技術。リアルドラゴンボール。

科学力が魔人ブウであるところのワレワレは、遠く離れた地球にまでわざわざ出向いてゴミ村人に会いたいと思うでしょうか?

お分かりでしょう。もう宇宙人が地球に来る可能性はほとんどなくなりましたね。君の見たUFOは見間違いです。

……と言いたいところですが。実は、1つだけ可能性があるのです。

それでもなぜ、宇宙人が地球に来る可能性があるの?

すっぱりいきますが、地球文明が発展していないからです。言い換えましょう。宇宙人にとっては、地球は生まれたての文明を観察できるチャンスなのです。

宇宙人は地球の科学には興味がありません。そんな内容、前前前世紀どころじゃない、10億年前から知ってます。

地球侵略なんてとんでもない話です。地球そのものは何の魅力もない、ありふれた星に過ぎません。

興味をひけるのは唯一出来たてホヤホヤの「文明」。今まさに目を開いた地球人。そんな地球人を、文明の目覚めを見たい宇宙人が観察している。この想像には、まだ説得力が残っています。

なので僕に言わせれば、ほとんどのハリウッド映画よりも『這いよれ! ニャル子さん』の方がよっぽど本格SFです(『這いよれ! ニャル子さん』で宇宙人が興味を持つ地球の要素はサブカルエンタメ)。

宇宙人たるニャル子さんがライトノベルなどを買いあさるのは、論理的に妥当なのです。

※『ニャル子さん』作中では「地球のエンタメ文化は宇宙最上級」という設定になっており本論と若干矛盾していますが、今まさに光り輝かんとしている文化だからこそ面白い、という説明もどうにか可能ですし、何よりニャル子さんがカワイイので何の問題もありません。

宇宙人がどんな方法で地球を観察するかは分かりませんが、実際に地球人の生活にまじり、肌で地球の文化に触れる、という手段は、ありえない選択肢ではないでしょう(文化人類学においてはこの手法を「参与観察」といいます)。

※ニャル子さんが地球人と触れ合うのは、参与観察です。実際、主人公の地球人・真尋くんに肌で触れたいと思っているに違いない描写がなされています。


それでは結論を言いましょう。「QuizKnockの宇宙人ライター」、絶対にありえないわけではありません。どんなに確率が低くても、もしかしたら……?


太陽は地球の周りを回ってないんじゃないか。地球は動いている。その気付き以降、地球の神聖さはどんどん失われ、とうとう地球人は自らのことをここまで客観的に見られるようになりました。

どれだけ宇宙や宇宙人について考えられるかで、地球人の文明レベルが分かるのです。

といっても、宇宙の先輩たちに比べれば、まだまだですけどね。

……という内容を母星に打電し、それから積んでいたライトノベルを1冊読んで、僕の1日は終わりました。

あしたはげつようび。あした、僕はどんな隣人と触れ合えるでしょうか。


【きょうのふくしゅう】


参考文献

ウルムシュナイダー,P 著(2002)『宇宙生物学入門―惑星・生命・文明の起源』(須藤靖・田中深一郎・荒深遊・杉村美佳・東悠平 訳)丸善出版

サムネイル画像 / Via youtube

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この記事を書いた人

河村・拓哉

河村です。どうも。日頃は主にYouTubeで活動していますが、同じく「楽しいから始まる学び」に寄り添って記事も書いていきます。東大クイズ研OB。

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