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株式会社JERA

激闘!バックギャモン世界大会

世界一への対策

さて、本戦に臨む直前はどのような対策をされたんでしょうか。

まずはたくさん練習試合をしました。大会会場では、試合で使っていないバックギャモンボードが自由に使えるので、毎日10時間くらい指していました。父以外にも、出場している他の日本人選手の方々や、同じジュニアに出る選手にも相手になってもらいました。

その他に、僕がジュニア以外に出場していたダブルス(2人ペアで相談しながら指す)やチーム戦(3人1チームで行う団体戦)の試合も並行して行われていたので、そこでの実戦もとても勉強になったと思います。

あと、試合数をこなすことも大事ですけど、復習と分析は大事なので、会場だけでなく宿に帰ってからも欠かさずやっていました。少しでも駒の位置が違うと指すべき手がまったく変わるので、細かなところにも気を配らなくてはいけません。基本的な定跡を覚えた後、応用に進んでいく感じでした。

対策に自信はありましたか?
PR(Performance Rating)という、強さの指標があるんです。上手くなるにつれ段々と数値が下がっていくんですが、モナコに着いた時には25くらいだったのが、帰る時には12くらいまで下がってました。最初に基礎的なことを覚えるだけでもグンと伸びるので、気持ちよかったですね。

quizknock_master_eye 会場の様子

数字で出るとより自信になりますよね。そんな状態で迎えた初戦はどんな気持ちでしたか?

ジュニアの前にダブルス戦があったんです。それがとにかく強い大人と当たるので緊張の連続で、逆にジュニアの初戦は初戦という感じがしませんでした。ダブルスで良い勝ち方ができたこともあり、いい気分で臨めたんだと思います。

ジュニアの初戦はイスラエルの少年とでした。お父さんがとても強いプレイヤーだそうで、彼も強かったと思いますが、手堅く勝つことができました。でも次の相手がさらに強敵で……。イギリスのDavid(Bloomfield)くんで、なんと大会3連覇中。7点先取マッチだったんですが、6対6までもつれ込みまして……普通はだいたい1時間もあれば試合が終わるんですが、この試合は3時間近くかかりました。ここをなんとか制したのが大きかったです。終わったらクタクタでしたが、それは相手も同じだったみたいです。

決勝戦は、初戦で戦ったイスラエルの少年のお兄さんが相手で。9点先取マッチという長い試合でしたが、Davidくんとの長期戦を制した経験が生きたのか、大勝することができました。

クリスタルのトロフィーは、台座がバックギャモンで使うキューブの形で、その上に地球儀のフィギュアを乗せるんですが、それがクルクルと回るようになっていて……本当にキレイなトロフィーです。

quizknock_master_eye 回転する上部は日本列島を中心にセットしてある

勝利の分析とこだわり

あらためて、おめでとうございます。全体として、勝因はどんな部分でしたか?
ありがとうございます。バックギャモンの試合はチェスクロックを使ってやるんですが、今回のジュニア部門は使わなくてもよかったんですよね。なので、時間に追われることなくじっくり考えることができた。これが自分にとって良かったと思います。じっくり考えて、最善手を指し続けることができました
落ち着いて進めていたんですね。とはいえ、最後に勝ったときは興奮したんじゃないですか?

むしろホッとしました。このために部活や塾をたくさん休んできていたので、負けたら仲間や先生に何を言われるか……勝ってよかった〜という気持ちが一番でした。

決勝戦も、5-1から4点とって優勝したので点数の余裕はありましたけれど、バックギャモンは最後まで何があるかわからないので、終了まで緊張感を残しながら戦えたのもよかったです。だからこそ勝って本当にホッと、という感じですね。気持ちが切れると、サイコロの出目も悪くなりますし

おお、そこも大事なんですね!
ダブルスの中盤でも、僕の出目が良くて勝った試合があったんですけど、そのときも気持ちが乗っているときだったので、やっぱり大事かなと思います。

quizknock_master_eye この時の経験が緊張を和らげた

優勝後に帰国して、なにか変化したこととかありますか?
まずあだ名が変わりました(笑)。それまで「キノコ」だったんですけど、「世界チャンピオン」って呼ばれるようになって。
わかるそれ! 俺も「クイズ王」って呼ばれるようになった。
あと、みんなが見てくれていたので、僕の「お肉」Tシャツも買ってくれる人が何人かいて……。

あ、そう、それだ! 聞きたかったんだこれ。

大会中に着ていたあの「お肉」と書いてあるTシャツは、どういうものなんですか?

quizknock_master_eye これが「お肉Tシャツ」だ!

実は最初、「お魚」というTシャツを持っていたんです。アニメに登場するTシャツで、それを着ていたら「お肉とかお野菜とかないの?」と聞かれたんで、自作してみようということでユニクロのTシャツを作るサイトで作って、モナコにも持って行きました。

決勝戦は準決勝の次の日だったんですが、準決勝の日にお気に入りの「お米」Tシャツを着ていったせいで、決勝は「お肉」に……僕、お肉あんまり食べないんですよ……

(ちなみに、お肉Tシャツを伊沢もいただきました。動画で着ています。)

チャンピオンの日常

勝利の後には、バックギャモン仲間からのお褒めの言葉とかはありましたか?

バックギャモンの知り合いの多くが今回モナコにいたんですが、一緒にダブルスを組んでくださった下平(憲治)さん、僕の師匠の横田(一稀)さん以外にも、たくさんの方が喜んでくださいました。モナコに来ていない皆さんも、父にメールなどでお祝いのメッセージをくださいました。

師匠の横田さんは20代前半のお兄さんなんですが、準決勝の、3連覇していたDavidくんと戦う前に「3連覇とか関係ないで!」と強めのハッパをかけてくれて。気持ちがほぐれました。

普段の中学生活は、バックギャモン以外にはどんなことをしているんですか?
部活は剣道部なんですけど、同学年の男子が僕しかいなくて、肩身が狭いです……。あと「チャンバラ合戦」をやってて
チャンバラ合戦!?
正式には「チャンバラ合戦-戦 IKUSA-」っていうんですが、利き手にスポンジ製の刀を、反対の腕に「命」と呼ばれるカラーボールをつけて、その「命」を刀で落とすというチャンバラで。小1からやってるんですけど、バトルロイヤルっていう最後の1人になるまで戦う形式で何度も優勝してるんです。勝ちすぎちゃってちょっと運営さんに怒られるくらい勝ちました(笑)
両方でチャンピオンとは……超文武両道ですね。テーブルゲームで好きなものはありますか?
「将棋はやるの?」ってよく聞かれますが、ほとんどやらないんです。好きなゲームは、モノポリーです。あとは人狼とか。
やっぱり運と実力のかけあわせ、みたいなゲームが好きなんですね。
続いて……これからのこと(2/3)。
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この記事を書いた人

伊沢拓司

QuizKnockCEO、発起人/東大経済学部卒、大学院中退。「クイズで知った面白い事」「クイズで出会った面白い人」をもっと広げたい! と思いスタートしました。高校生クイズ2連覇という肩書で、有難いことにテレビ等への出演機会を頂いてます。記事は「丁寧でカルトだが親しめる」が目標です。

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