東大生の本棚 vol.6【宮原編】番外編 京大生の本棚

こんにちは、京大生ライターの宮原です。

今回は「東大生の本棚」、改め「京大生の本棚」を担当させていただきます。

と、その前に!

この度、我らが京都大学クイズ研究会Muitusのクイズ本が出版されました! その名も最強京大クイズ! 我らMutius初の書籍です。頭脳王・東大王の方々のコメントも収録されております!

閑話休題。「京大生の本棚」の話ですね。京都大学クイズ研究会の会長を務める私ですが、読書好きが高じてビブリオバトルサークルの副会長も兼任しています。みなさん「ビブリオバトル」ってご存知ですか? 「腸炎ビブリオ」とかとは関係ないですよ。

「ビブリオ」はラテン語で「本」という意味で、「ビブリオバトル」は本の紹介をスポーツにしたような競技です。

  1. みんなで集まって5分で本を紹介
  2. 「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票で「チャンプ本」を決める

だいたいのルールはこんな感じ。シンプルですね。「読書感想文へのアンチテーゼ」などといわれ、持ち寄る本には制限はなく(テーマが決まっていることはあります)、学術書から漫画までさまざまなジャンルの本が紹介されます。キワモノとしては英語の単語帳でチャンプ本を獲った人を見たことがあります。ほんとに自由です。

ビブリオバトルをする宮原(たぶん当時1年生)

そんなこんなで自分が読んでいない本に触れることも多いのですが、とりあえず今回はジャンルに偏りなく4冊選んでみました。

『黒い家』貴志祐介

1冊目は貴志祐介の『黒い家』です。余計なことを言うと京大のご出身です。

大手生命保険会社に勤める主人公・若槻慎二は、ある顧客の家を訪れた際、その家の子供が首を吊っているのを発見します。父親による殺害を確信した若槻ですが、それを示す証拠はなく、調査を進める彼に危険が迫ります。

こんな風に書くと探偵小説のようですが、この作品は第4回日本ホラー小説大賞を受賞した、れっきとしたホラー小説です。しかし、ホラーといってもお化けや怪物が出てくるわけではなく、あくまで現実的な人間の世界で話が進みます。ただ、それが余計に怖い。「人間がこんなことをするのか」」「人間にこんなことができるのか」と、身の毛がよだつとはまさにこのことです。

私は実はホラーは苦手なのですが、この本はクイズの賞品としてもらったのをきっかけに読みました。怖い怖いとは思うのですが、それでかえってページをめくるのが止まらなくなる感じで、もらった翌日には読破していました。

貴志祐介の作品はほかにも『新世界より』(第29回日本SF大賞受賞)とかおすすめです。

『日の名残り』カズオ・イシグロ

2冊目はカズオ・イシグロの『日の名残り』です。イシグロは2017年のノーベル文学賞を受賞したイギリスの小説家(幼少期に日本から移住)。

イギリスの古い屋敷・ダーリントンホールの執事である主人公・スティーブンスは、休暇をもらって自動車での旅をしながら、かつての主人・ダーリントン卿に仕えていた頃を回想します。女中頭のミス・ケントンをはじめとする仲間たちや、ダーリントン卿が主導した秘密の外交会議のことを思い返し、現代に失われつつある伝統を懐かしむのです。

イギリス最高の文学賞といわれる「ブッカー賞」を受賞したこの作品は、1993年にアンソニー・ホプキンス主演で映画化もされています。

完全にスティーブンスの一人称視点で物語が展開され、ページが進むにつれて彼の話が少しずつずれていきます。理想として美化していた思い出から徐々にメッキが剥がれていき、読者に真実が明らかにされていくのです。文学表現の技法が見事というのもさることながら、古き良き英国貴族や執事のあり方に触れることができるという点でも興味深い作品でした。

『沈黙の艦隊』かわぐちかいじ

3冊目はかわぐちかいじの『沈黙の艦隊』。漫画です。

秘密裡に建造された日本の原子力潜水艦「シーバット」。しかし、艦長・海江田四郎以下の乗組員は反乱を起こし、独立国家「やまと」を名乗って行動を開始。日本、アメリカ、そして世界中が「やまと」によって揺り動かされていきます。

たった1隻でも世界を引っかき回せる原子力潜水艦の存在を軸に、銃を撃てない自衛隊や核戦争のリスクをはらんだ国際体制といった政治的な問題をついた作品ですが、単純に潜水艦の戦闘に手に汗握りながら読めるので難しい作品はいやという人にも読んでほしいです。

かわぐちかいじの作品は他にも、太平洋戦争にタイムスリップしたイージス艦を描いた『ジパング』などがおすすめです。

『動物農場』ジョージ・オーウェル

最後はジョージ・オーウェルの『動物農場』です。

人間を追い出して自分たちだけの理想の農場を作ろうとした動物たちでしたが、やがて豚による独裁が始まるというストーリーです。ソ連を風刺した内容であるといわれています。

とりあえず動物がしゃべるったり豚が二足歩行を始めたりするので、寓話的というか現実感はないです。しかし、実はやってることが人間の歴史と変わらないというところがこの作品の面白いところです。圧政を打倒する革命が起こり、次に独裁者が登場、そしてさらなる圧政が始まる。

オーウェルは管理社会の近未来を描いた『一九八四年』でも有名で、全体主義に対する批判を込めた作品で人気を集めました。批判・風刺という意味で『動物農場』はより露骨なので私はこっちの方が好きですし、メッセージが明白でわかりやすいので今回はこっちをおすすめします(『一九八四年』もぜひ一読はされたし)。

ジャンルに偏りなくとか言いつつ結局全部物語になっちゃいましたね(まじめな本を読んでないのがばれてしまう)。

ビブリオバトルに興味を持ってくれた人、そして何より自分には人に勧めたい本があるという人はぜひビブリオバトルやってみましょう。公式サイトに開催情報が載っているのでまず観戦に行ってみるのもいいかもしれません。

おすすめして、おすすめされて、そして好きな本でつながれば人の輪も広がっていきます。

QuizKnockのライターになってビブリオバトルの話をするとは思っていませんでしたが、クイズも本もビブリオバトルも、好きなものについて話すのは楽しいということを再認識しました。みなさんも好きなものを追いかけていってくださいね。それではまた、次の記事でお会いしましょう。

そして、みなさん『最強京大クイズ』をよろしくお願いします!

京都大学法学部3年生。同大学クイズ研究会会長。夏には奈良県で学生向けクイズ大会「白鹿杯」を開催。クイズは答えるのも出すのも好きなのでQuizKnockのライターという機会をいただけて感謝しております。数少ない京大生ライターとして頑張っていこうと思います。

 

ABOUTこの記事をかいた人

京都大学法学部3年生。同大学クイズ研究会会長。夏には奈良県で学生向けクイズ大会「白鹿杯」を開催。クイズは答えるのも出すのも好きなのでQuizKnockのライターという機会をいただけて感謝しております。数少ない京大生ライターとして頑張っていこうと思います。