ご祝儀袋に「金参萬円」などと書かれているのを見たことはないでしょうか。これは「金三万円」と同じ意味で、「大字(だいじ)」という用法です。簡単に書き換えられないように、わざと難しい字を使っているんですね。

[caption id="attachment_31649" align="alignnone" width="600"] 大字の例[/caption]

ところで、「萬」という字は「万」の旧字体です。ご祝儀袋のほか、人名や地名などでも見かけるかと思います。しかし、これらはあまりにも字の形が違いすぎはしないでしょうか。「萬」をどのように省略すれば「万」になるのか、意味が分からないですよね。

実はこれらは、別に省略したものというわけではなく、もともと全然違う字だったのです。

萬はサソリ、万は卍?

「萬」という字は、もともとサソリをかたどったものだとされています。このサソリと10000という数字が、古代中国では発音が似ていたことから、「萬」が10000の意味で使われるようになりました。

では「万」はといえば、一説には「卍」から来ているともされますが、実際のところよく分かっていません。しかしこの字も、10000という数字を表す発音と似ていたため、10000の意味で使われるようになったのです。

つまり、「萬」も「万」も、実はもともとは10000という意味ではなく、発音が似ていたからという理由で10000を意味するようになったという、同じ穴のムジナなんですね。

マジ万字?

ちなみに、先ほどチラッと出てきた「卍」という字。最近では「マジ卍」などと一般に使われる(?)ようになりましたが、もともとは仏教で使われた幸福を表す記号です。

前述したとおりこれが起源かどうかは不明なのですが、古代中国で「卍」を大きい数という意味で「萬」と同じように使う例が発生しました。記号から漢字へのアップグレードですね。

この結果、「卍」は「萬字=まんじ」と読まれるようになったのです。

参考文献

この記事を書いた人

カワカミタクロウ

東大文学部、東大クイズ研のカワカミです。分かりやすく、読みやすい記事を書いていきたいと思っています。よろしくお願いします。

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