QuizKnock

アプリで記事をもっと見やすく

インストールする

カテゴリ

ログイン

こんにちは。ライターの大野です。今週の「思い出のクイズ」では、僕がテレビ番組『東大王』に出演したときの話をします。

ご存じの方も多いかもしれませんが、僕は2020年9月の『東大王 VS 全国の視聴者スペシャル』に「最強視聴者軍団」の一員として出場し、ここでMVPを獲得したことから、翌10月の放送に芸能人チームの一員として参加した経験があります。

今日の話は、その2回目の出演で正解した問題について。クイズの楽しみのひとつ、「問題傾向を分析し、対策のために知識を仕入れ、本番で満を持して正解を決める」が完璧に成就した1問でした。


超難問!

いつもはテレビ越しに聞いている効果音を合図に、集中する。潜る。

スコアは、東大王チーム2点に対して芸能人チームが6点。ここで正解すれば勝利に王手がかかる。既に2回の正解を決めた僕だったが、手を緩める理由はない。

これからお見せする写真が撮影された都道府県名をお答えください。

ただし、一部分からだんだん全体が見えるようになります。

獲った。そう思った。

2020年8月、クイズ好きが盛り上がるニュースがタイムラインを駆け巡った。

『東大王』が、第100回放送を記念して視聴者参加型のスペシャル生放送をやるという。あの問題群が好きでたまらない僕が、参加申し込みをしないわけがなかった。

謎解き問題の一次予選、リモート収録で行われた二次予選を終え――問題の巡り合わせがよかったのだろう、僕は、勝ち残っていた。スタジオへ行き、収録に参加する権利を得た。

せっかく参加するのだから、正解したい。活躍したい。クイズジャンキーの血が騒ぐ。

対策の日々が、始まった。

『東大王』には、さまざまな形式のクイズが登場する。「難問オセロ」など、名物企画も多い。

そんな中で、僕は「早押しクイズ」に注力することを決めた。必ず行われるステージだし、正解できればかっこいい。

まずは敵を知ること。僕は録り溜めた番組を見返し、早押しクイズでどんな問題が出題されているのか、スプレッドシートにまとめた。「よく出る問題」の傾向が見えてくる。

ひらめき、世界遺産、美術……さまざまな問題がある中、「日本の名所」に着目した。画像映像から、撮影場所の都道府県名を答えるタイプの問題。

  • 名所の名前そのものを覚える必要はない(⇔世界遺産は名前を覚えなくてはいけない)
  • 目で見て覚える必要があるため、ライバルが少ない(早押しクイズプレイヤーは読み上げに強いことが多い)
  • 最悪、わからなくても47分の1の確率で当たる(勢い余って押しても絶望しなくて済む)

いいことずくめだ。ここを狙わないでどこを狙う。

やることは決まった。目指す山は見えた。あとは、信じた方向に進むだけ。

僕は本を買ってきた。選りすぐりの日本の絶景が1000ヶ所ほど掲載されているガイドブックだ。1ページ目から順番に、愚直に、暗記アプリに登録していく。『東大王』で正解することだけを考えるなら、周辺知識はさほど必要ではない。景色と都道府県の対応を、ひたすら頭に作り上げていく。

棚田の多さに辟易とした。滝を見分けようと必死になった。「ゴジラ」と名のついた岩が複数あることを知った。人はどこにでもハートの形を見出すと学んだ。

だんだん、絶景の写真がただの画像データに見えてくる。感動のアンテナが麻痺してきた。

そんな中――「これは!」と思うものがあったらしい。「らしい」というのは、僕自身は覚えていなくて、家族が後から「あんた、これ見せてきたじゃない」と教えてくれたからだ。

新潟県・清津峡渓谷の『Tunnel of Light』。壁をステンレスにしたトンネルの床に水を張った、異世界への扉のような芸術作品だ。

見た瞬間、「きれいだな」と思ったらしい。「テレビ映えするかも」と打算が走ったらしい。そして――家族に、「出るならこれ」と告げていたらしい。

超難問!

いつもはテレビ越しに聞いている効果音を合図に、集中する。潜る。

スコアは東大王チームが2点に対して芸能人チームが6点。ここで正解すれば勝利に王手がかかる。既に2回の正解を決めた僕だったが、手を緩める理由はない。

これからお見せする写真が撮影された都道府県名をお答えください。

ただし、一部分からだんだん全体が見えるようになります。

獲った。そう思った。

逆光の中に立つ男を認識し、手が動く。ガッツポーズ。直感は確信へと変わる。

「新潟県!」

この日3度目の正解の快感は、きっと、死ぬまで忘れない。


この正解でリーチとなった芸能人チーム。東大王チームの反撃で6-7まで持ってこられましたが、最後は伊沢さんが世界遺産問題を見事に正解し、勝利することができました。

「東大王チームに勝利した」のは、僕のクイズ人生におけるささやかな自慢になっています。

ライターそれぞれの想いの詰まった「思い出のクイズ」バックナンバーはこちらから。

この記事を書いた人

大野 水季

慶應義塾大学医学部に在学中の大野です。 日常生活の中で見聞きするちょっとしたことを掘り下げ、おもしろい問いに仕立てて皆さまにお届けします!

大野 水季の記事一覧へ