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こんにちは。永岡です。

今回の「思い出のクイズ」は、私が「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」(フジテレビ系、以下:「99人の壁」)でGRAND SLAMグランドスラムを達成したときのお話です。


「99人の壁」とは、1人の挑戦者が得意ジャンルを武器に、「ブロッカー」と呼ばれる99人とクイズ対決をするという「超逆境」なクイズ番組。

私は2019年10月、出場者全員が動物ジャンルを得意とする「百獣の知識王決定戦に出場した。そこで私が挑戦したジャンルは【オオカミ】。

……なぜオオカミ? その話はまた別の折に。とにかく、幼少期からオオカミに憧れ、「オオカミになりたさ」から生態や言い伝えをコツコツ勉強してきた人生だったのだ。

収録本番、「海洋生物の難読漢字」ジャンルで挑戦する出場者にブロッカーとして競り勝ち、挑戦者となる出番が巡ってきた。

当時の「99人の壁」は、99人のブロッカーがまさに「壁」のように挑戦者を四方から取り囲むセットが組まれていた。

最初のブロッカーは25人。全5つのステージがあり、勝ち進むたびクイズに参加するブロッカーが増えていくシステムだ。

センターステージに立つ。主宰(MC)の佐藤二朗さんとぎこちない会話を繰り広げながらも、順調に3rdステージまで突破する。

そして、忘れられない4thステージ。

ブロッカーが増え、「99人の壁」が完成した。ここを勝ち抜けばファイナルステージだが、私の前の、そのまた前の挑戦者も沈んでいった最大の鬼門である。

クイズ!99人の壁!

二朗さんが「早押しだよ!」と背中を押す。

早押し問題です。オオカミによって育てられた/双子

ダンッ!

ブロッカーのランプがつく。

オオカミに育てられた人物となると『ジャングルブック』の「モーグリ」か、ローマ建国神話に登場する「ロムルスとレムス」か、インドで保護されたとされる「アマラとカマラ」か……。そう思考している隙をつかれた。見るとブロッカーが掲げるジャンルは【動物文学】。

「ジャングルブック」

——終わったな

直感的にそう悟り、退き際のコメントを考えていた。

ブーッ!

不正解のブザー音で我に返る。しかし依然として不利な状況。集中して再び構える。

早押し問題です。オオカミによって育てられた双子「ロ/ム

ピコンッ!

……点いたのだ。私のランプが。周囲から連打が雪崩れこむなかで。

しかも、私の耳にははっきりと「r」の音が聞こえた。確信に変わりつつも熟考し、ひと思いに答える。

ローマ!

『カピトリーノの雌狼』カピトリーノ美術館(ローマ)所蔵。下にいるのがロムルスとレムス。

迎えたファイナルステージ。窮地をかいくぐり覚醒したのか、無我夢中で問題にかじりついていた。

——楽しい! 俺はこの瞬間のために懸けてきたんだ! 

血湧き肉躍る感覚、ただそれだけが耳からしっぽまで支配していた。まさに“獣”が憑依したかのような心地。

勝負は最終問題までもつれる。夢の時間はあっという間に過ぎ、結果「99人の壁」に勝利していた。


クイズは、何者でもなかったはずの存在を何者かにさせる力がある気がします。オオカミの魅力に取り憑かれた者が、オオカミに身体を取り憑かれるような錯覚を覚えた。それはひとえに、今回の「思い出のクイズ」のような死線を越えた緊迫感や熱狂感によるものでしょう。

少し大袈裟でしたかね? ただ、好きなこと・勉強したことを堂々とアピールできる遊びという意味で、クイズは誰しもにキャラクターを授けてくれるということは間違いないです。

QuizKnockライターという今の私があることを考えても、クイズとの縁は不思議と言うほかありません。

他のライターたちの「思い出のクイズ」はこちらから。

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この記事を書いた人

永岡 優

ジャンル「オオカミ」で「超逆境クイズバトル!!99人の壁」に出演するなど。神戸大学大学院修士課程修了(システム情報学)。日常に溢れる教養を楽しい切り口でお届けします。

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