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5つのコツ

さて、まずはそのコツを並べてみます。

  • 困ったら正解させよう
  • 素材が映える切り取り方をする
  • 問題文はヒントである
  • 択一で難易度調節する
  • 良いソースを使う

順に見ていきましょう。これをすべて押さえれば、準備万端です。

困ったら正解させよう

クイズの正解、気持ちいいですよね。逆に誤答、悔しいですよね。

でも、間違ったけどなんかよかった、という経験ありませんか? 僕は、その「誤答したけど嬉しい」体験には、2つの理由があると思っています。

 ◯「くそ〜、こりゃ正解できたな〜」という気持ちいい悔しさ

 ◯「えっ、これは面白い情報だ!」というナイスな知識

……と言っても解答者にこの2つの体験をさせるのは、かなり難しいんです。僕もラジオやテレビの作問で、こんな「いい誤答」狙いのネタをウンウン言いながら探しています。

ですから、相当ネタに恵まれないと、誤答しても楽しい問題はできません。やはり、人にいい問題だと思ってもらうには「正解」がメイン。「カンタンじゃないけど正解しやすいネタ」を意識すると良いでしょう。いやもちろん難しいんですけど、これを実現するためのコツがここからのコツになります。

素材が映える切り取り方をする

非常に残念なことに、世の中の情報はクイズの形をしていません。

スターバックスコーヒーは1971年にシアトルで開業された世界的コーヒーチェーンで、その店名はハーマン・メルヴィルの小説『白鯨』にちなむ。日本では『スタバ』という愛称で人気を博しており、2015年には全47都道府県への出店を果たした。

という情報があるとしましょう。クイズを作るというのは、このどこかを抜き出して答えにするような作業なのです。

例えば、スタバが開業された土地である「シアトル」や店名の由来となる『白鯨』を答えにすると、きっちりした知識を問う正統派な問題になります。スタバ検定を作ろうと思ったらこんなふうに情報を抜き出してみるといいかもしれません。

ただ、こういう作り方をすると問題が難しくなりがちです。そういうときには別のやり方もあります。

「『スタバ』の愛称でもおなじみ〜」や「1971年にシアトルで開業された〜」という風に「スターバックス」自体を答えにすると、難易度が調整しやすくなります。前者は小学生向けのクイズ大会、後者はお固めの場で出すのに向いてるな、という塩梅です。

トリッキーなやり方だと、「スタバが全都道府県への出店を達成したのは西暦何年? A. 2015年」というものもあります。テレビで出す近似値問題だったり、平成を振り返る回にもってこいです。

ただ、「スタバがシアトルで開業されたのは西暦何年? A. 1971年」を出題するのは、多くの人が体感した出来事ではない分、ナンセンスなのかなという感じです。

このように、ひとつの知識の塊でも、スライスの仕方によって様々な角度からクイズ化できるのです。もちろんさらに深掘りして、「次のうち、アメリカのスタバにおいて無料で借りられるものは何? A. チェスの駒」みたいな問題にすることも可能です。

3つの原則と5つのコツを活かせば、おのずと良い切り取り方になるはずです。まずは「どう料理したら面白いかな?」という意識を持つところから!

問題文はヒントである

よくTV番組では、クイズの問題が出た後、時間差で「ヒント」が出ますよね。まだ思いついていない人を助けるナイスな仕組みなわけですが、QuizKnockでのクイズにおいては、なにも後からヒントを出す必要はありません。

むしろ、問題文そのものが、立派なヒントになっているのです。

「環境保護団体・WWFのロゴに描かれている生き物は何?」という問題があるとします。難しいですね。ブラッシュアップしましょう。

「環境保護団体・WWFのロゴに描かれている、絶滅が危惧されている生き物は何?」

「環境保護団体・WWFのロゴに描かれている、日本の動物園でもおなじみの生き物は何?」

考える余地が増えました。さらに行っちゃいましょう。

「環境保護団体・WWFのロゴにも描かれている、日本ではアドベンチャーワールドや上野動物園で見られる可愛い動物は何?」

さあ、わかりましたか? 正解は「ジャイアントパンダ」です。

こんなふうに、問題文の構成をさまざまに変化させ、巧みにヒントを追加することで「正解しやすい」問題を作ることができます。しかも、問題文の前半に学びとなる情報が追加できるので、楽しく学べる問題になるわけですね。WWFのロゴマークはノートなどに載っていることも多いので、「あっあれかぁ」となる人もいるはず。美味しい題材です。

より幸福に満ちたクイズを作るためには、この「ヒント部分」を工夫することが大事。みなさまの隠し味を楽しみにしております。

択一で難易度調節する

いきなりですが問題です。

「物質の波動性に関する波長と運動量の関係を表す方程式にその名を残す、1929年にノーベル物理学賞を受賞したフランスの学者は誰?」

A:ルイ・ド・ブロイ B:木村拓哉

さあどっち!!!

と、言われたら流石にわかりますよね。Aが正解です。

極端な例ですが、択一問題というのは、フェイクの選択肢を自在に操ることで難易度を調節することができます。この例のようにカンタンにすることも、逆に難易度を上げることもできるわけです。僕自身も昔、YouTubeの企画で「大阪なおみ or 大坂なおみ」という二択を作ったことがありました。

フェイクの選択肢は、ありえないものを並べて笑いをとったり、強烈な個性で正解を目立たないものにしたりと、問題の味をととのえるスパイスに成り得ます。ぜひそこまで気を配って、イカした問題を作ってみてください。

良いソースを使う

クイズ問題は、ソースの確からしさがなによりも大事です。といっても、お好み焼きやトンカツの話じゃありません。情報源という意味のソースです。

たとえば、超便利サイトのWikipediaであっても、誰でも編集が可能なサイトである以上嘘が書いてあることもあります。インターネットに載っている情報の多くは事実確認が行われていないものであり、カンタンに信じると痛い目を見ます。

理想を言えば、複数の書籍や新聞、インターネットなら出典表記が明確なものを根拠として作問するのが良いでしょう。大学生ならば、授業で習った情報リテラシーについての作法を振り返ってみてください。

事実に誤りがあれば、その時点でクイズは死んでしまいます。正しい情報を正しく集めることを大事にしましょう。

さてさて、以上でレクチャーは終了です。もっと細かく語ることもできるのですが、方法論を入れすぎてしまうと初期衝動を下手に抑えこんでしまう可能性もあります。まずは、みなさんの知的好奇心を爆発させてみてください

僕自身、今まで触れたことのない知に触れたり、既知の知識の新しい料理法に出会ったりすることを楽しみにしております。

みなさまの力作、お待ちしてます! 詳しい企画内容は、第一回『集え!名作クイズ劇場』のページをご覧ください。(3/3)

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この記事を書いた人

伊沢拓司

QuizKnockCEO、発起人/東大経済学部卒、大学院中退。「クイズで知った面白い事」「クイズで出会った面白い人」をもっと広げたい! と思いスタートしました。高校生クイズ2連覇という肩書で、有難いことにテレビ等への出演機会を頂いてます。記事は「丁寧でカルトだが親しめる」が目標です。

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