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解説

ムンク『叫び』

エドヴァルト・ムンクはノルウェーの画家です……ってかしこまって説明するまでもなく、『叫び』の絵で有名ですね。
絵の人のポーズを真似したことがあるという人も少なくないんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
今回紹介するのは、4作ある『叫び』の中でも、パステルで描かれたもの。

これが2012年、ニューヨークのオークションに出た時の落札金額は、なんと約96億2000万円!
1万円札の束にして962kgほどあることになります。クラクラしそう。

マグリット『大家族』

ムンクに対するのは、ベルギーの画家ルネ・マグリット
20世紀に活躍した、「シュルレアリスム」という一派の画家です。
取り上げた『大家族』は、マグリットの絵画の幻想的な特徴がよく現れている代表的な1枚であります。

この絵は1996年に、栃木県の宇都宮美術館がオープンに合わせて購入しています。
当時の購入価格は……約6億2000万円! 宝くじの「BIG」の最高当選金額くらい。

という訳で、この2枚ではムンクの方が高いという結果でした。
しかしマグリットの方も今市場に出たら数十億になると言われるので、これは買われた時期の差が大きかったでしょうか。

ダリ『ポルト・リガトの聖母』

サルバドール・ダリはスペインの画家。マグリットと同じく、彼もシュルレアリスムを代表する人物です。
特に有名なのは時計が溶けたようにぐにゃぐにゃになっている絵でしょうか。
ここで紹介する『ポルト・リガトの聖母』は1950年に描かれた絵画で、全体の構図は原子核の構造をイメージしていると言われています。

この絵画は、1996年に福岡市美術館が購入したものです。
購入時の値段は、実に5億6000万円! 渋谷区に100坪以上の土地が買えるくらいの金額です。
ただ、これでもバブル崩壊後で「お買い得」な値段だったとのこと。

モネ『睡蓮の池』

ダリに対するのは印象派の巨匠クロード・モネ。フランスの画家です。
自然の光を描くことを目指したモネは、自宅に植えた睡蓮をよく描いたことで知られています。
今回題材とした絵も、そんな睡蓮が描かれた絵の1つ。

この睡蓮は2008年、イギリスのオークションに登場しました。
そのときの落札額は……約87億円!! 彼の作品の中で最高額記録です。

これらの2枚ではモネの方が高いという結果。これも買われた時期が違えばまた違った結果になっていたことでしょう。

ピカソ『アルジェの女たち(バージョン’O’)』

パブロ・ピカソも説明の必要がないくらい有名な画家ですね。とても多くの作品を遺したスペイン出身の画家です。
複数の方向からの視点を1つの画面にまとめた「キュビスム」という画風を生み出したことで有名ですね。
今回取り上げた『アルジェの女たち』も、このキュビスムの絵画です。

この油彩画は2015年、ニューヨークのオークションに登場しました。
そのときの値段は、なんとなんと、約215億円!! 大型ジャンボジェット機が1機買えそうな金額です。

リキテンスタイン『ヘアリボンの少女』

対するロイ・リキテンスタインはアメリカの画家。
戦後アメリカの大衆的な文化をあえて芸術として取り上げる「ポップアート」という流れを代表する人物です。
この『ヘアリボンの少女』はコミックの一部を大きく拡大して油絵として描いた絵。影を表現するドットも再現しています。

この絵は1994年、東京都現代美術館が開館時の目玉として購入したもの。
その値段は……約6億円! ピカソと比べると安く見えてしまいますが、それでも大金。
当時は「マンガに6億も使うなんて!」という意見もあったようです。

ルーベンス『ベツレヘムの幼児虐殺』

ピーテル・パウル・ルーベンスは16世紀のドイツに生まれた画家。
今回紹介する他の画家に比べると抜群に古い時代の人物です。豊かな色彩の華麗な画風が特徴です。
この絵はキリスト教聖書のエピソードを題材にした激しい絵画。

これは2002年、ロンドンのオークションに出品されています。
落札額は、実に約90億円!! 日本のH-IIAロケットが1機100億円くらいなので、もう少しで手が届きそうな値段です。

ゴッホ『ひまわり』

対するフィンセント・ファン・ゴッホはオランダ出身の画家。
強烈な色彩と力強い筆のタッチが独特です。もちろん皆さまご存知のことと思います。
『ひまわり』は彼の代表作。花瓶の花でありながら、なんとも言えない迫力を持っています。

この絵は1987年、当時の安田火災海上保険(現在の損保ジャパン日本興亜)という企業が落札したことで話題となりました。
その値段は……約53億円!! 惜しくもルーベンスよりは低い値段ですが、都内に大豪邸を建てられるくらいの金額です。

ロスコ『ホワイト・センター(イエロー、ピンク、アンド・ラベンダー・オン・ローズ)』

マーク・ロスコはアメリカの画家。生まれた国はロシアでした。
第二次世界大戦後に起こった抽象絵画の一派「抽象表現主義」を代表する人物です。
取り上げる絵からは、「画面全体に広がる色面」「にじむような微妙に変化する色合い」といったロスコの特徴がよく見て取れます。

この絵は2007年のニューヨークのオークションで落札されたものです。
このときの値段は、約87億7000万円!!!
「落書きみたい」なんて思った方、これ、87億ですよ。都心にビルが1棟建てられるような金額です。

ポロック『No.5, 1948』

対するジャクソン・ポロックもアメリカの画家。
彼もロスコと同じく抽象表現主義の画家ですが、特に「描く」という行為にスポットを当てた「アクションペインティング」という一派として知られています。
この絵も、絵の具を缶からしたたらせるという方法で制作されています。

本作は2006年に売却されたという報道があったものです。
その取引金額はなんと……約163億9000万円!!!
こちらもなんだか分からないような絵ですが、サッカースタジアムを1つ建てられるくらいの値段なのです。

おわりに

いかがでしたか? ちょっと金銭感覚がおかしくなったかもしれませんね。

日本のバブル期以降、有名な作者の絵画の値段はどんどん高くなっています。
作品として欲しい人がいるというのはもちろんですが、資産として持っておきたいと考える人も増え、こうした現象が起こっているようです。

今度から、絵を見る際にはその値段にも思いを馳せてみてくださいね。それでは。

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この記事を書いた人

柳野とうふ

東大で美術史学を専攻している東京大学OBです。マンガとか専門の本とかを読んでるときに「知らない単語」に出会った感動を共有したいがためにクイズを作ってるところが多分にあります。絵は見るのも描くのも好きです。

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