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みなさんは、プラネタリウムに行くことはありますか? 学校の学習で足を運んだり、デートで訪れたり。様々な機会に行くことがあると思います。

当たり前のように使っている「プラネタリウム」という言葉、その語源をご存じでしょうか。

「プラネタリウム」とは、惑星を意味する「プラネット」と場所を意味する「アリウム」という言葉が合わさって出来ました。

もともとは、18世紀のオランダで、市民に正しい天文の知識を伝えるために作られたもので、太陽を中心に惑星が回っている様子を再現した模型でした。今のように、星座を見ることが目的ではなかったのです。

その後、20世紀にアメリカの科学館で、地球から見た恒星の動きを再現したのが、今日の星空を映し出すプラネタリウムの始まりです。

星の一生

よく、「宇宙はスケールが大きいから、宇宙を見ていると、人間のちっぽけな悩みなんてどうでもよく思える」などと言うことがありますが、本当にそうでしょうか。

命あるものはいつか必ず滅びてしまいます。それは、寿命の長さに関係なく儚いものです。その1つ1つを大事に過ごしていく中で、悩みに大きいも小さいもありません。

もちろん、宇宙にたくさんあるどの星にも、死を迎えるときが訪れます。1つの星が死にゆき、また新たな星が誕生する。宇宙は長い歴史の中で、それを何度も繰りかえてきているのです。

そして、冬の星空には、もうすぐその一生の終わりを迎えようとしている星があります。

オリオン座

冬の星空は、1等星の数がどの季節よりも多く、7つの1等星を見ることができます。とてもにぎやかな季節です。

そんな冬の星空の中で一際目立つ星座・オリオン座。真ん中の三ツ星を囲むように4つの明るい星が四角形を描いている形が特徴的な星座です。冬の星座の王様ともいわれます。

ギリシャ神話に登場する狩人・オリオンをかたどった星座です。オリオン座は、黄道十二星座の1つ・さそり座が宿敵であるとされ、さそり座が東から昇ってくると、オリオン座は西に沈んでしまいます。

オリオン座には1等星が2つもあります。その1つが左上のベテルギウスです。この、ベテルギウスが、実はもう一生の99%を終えていて、近い将来爆発するのは確実といわれています。

この爆発は超新星爆発といい、星の一生の終わりだといわれています。爆発を起こした星はとても明るく輝きます。

また、ベテルギウスは地球から約650光年と、宇宙のスケールで見るととても近い距離にあるので、もし爆発したら、夜は月よりも明るく輝き、昼であってもその輝きを目にすることができるといわれています。

そんなオリオン足元にいるのが、うさぎ座です。日本では、「月でうさぎが餅つきをしている」とされていますが、実は星空にもうさぎがいるのです。

うさぎ座そのものはあまり明るくないため、都会の空で見つけることは難しいですが、オリオン座が見えたときに、近くに月があったら「今はうさぎが2匹いるな!」と思って少し楽しく感じますね。

冬の大三角

さて、オリオン座には1等星がもう1つあります。それが、右下の青白い星・リゲルです。ベテルギウスが赤く、リゲルが青白く輝くことから、昔の日本では、その色の対比を源平合戦に例え、リゲルを源氏星、ベテルギウスを平家星とよんでいました。

そんな、源氏と平家の間には、アルニタク・アルニラム・ミンタカという3つの2等星が並んでおり、これらをまとめて三ツ星といいます。オリオン座は、冬の星座を探す手掛かりとなる星座で、特にこの三ツ星はとても役に立ちます。

この三ツ星を左の方に伸ばしていくと、とても明るい星を見つけることができます。これが、おおいぬ座の1等星・シリウスです。

シリウスは、全ての夜空で一番明るく輝く恒星です。冬の代表的な7つの1等星の中で、最も遅く昇ってくる星なので、シリウスがよく見えると、冬の訪れを感じさせてくれるように思います。

オリオン座の上の2つの星を、ベテルギウスの方向に伸ばすと、また明るい星を見つけることができます。これは、こいぬ座の1等星・プロキオンです。

この2匹の犬の星座は、オリオンが連れていた2匹の猟犬です。そして、2匹はオリオンの足元にいるうさぎを狙っているとされています。

プロキオンと、シリウス・ベテルギウスを線で結んで描ける大きな三角形を、冬の大三角といいます。

大三角といえば、夏の大三角も有名ですが、冬の大三角の特徴は、ほぼ正三角形であること! 夏の大三角はピザのような三角形をしています。

冬のダイヤモンド

さて、冬の星空では、7つの1等星を見ることができるといいました。これまで、4つ紹介したので、残りの3つを一気に紹介します。

Image / Via 県立ぐんま天文台

リゲルとベテルギウスを線で結んで、ベテルギウスの方向を伸ばして見つかるのが、ふたご座の1等星・ポルックス。黄道十二星座の1つ・ふたご座は、その名の通り、双子の兄弟が星座となっており、ポルックスは弟にあたります。

シリウスとベテルギウスを結んで、ベテルギウスの方向を伸ばして見つかるのは、ぎょしゃ座の1等星・カペラ。馭者(ぎょしゃ)とは、馬に乗って馬を操る人を意味しますが、その星座絵は、ヤギを抱いたおじいさんの姿をしています。

三ツ星を右の方へと伸ばして見つかるのが、おうし座の1等星・アルデバラン。おうし座には、プレアデス星団という星団があり、日本ではすばると呼ばれます。

さて、これまで紹介した7つの1等星。1つ目はオリオン座の赤い星・ベテルギウス。これを囲むように、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、そしてオリオン座に戻ってリゲル

ベテルギウスを囲む、これら6つの星を線で結んで描ける大きな六角形を冬のダイヤモンドといいます。

おわりに

写真で見ても、大きさはいまいちピンとこないですが、実際の空を見ると、その大きさに圧倒されると思います。本物のダイヤモンドは高価ですが、夜空に輝くダイヤモンドは都会の空でも見ることができますし、見るのにお金もかかりません。

ぜひ、冬の夜空を見上げる時には、キラキラ輝く大きなダイヤモンドを探してみてください。

晴れた夜には、みなさんの上に素敵な星たちが輝いています。星空を楽しむのに、特別な知識や技術はいりませんが、ちょっと知識があるだけで、普段とは違う楽しみ方ができるかもしれません。みなさんの夜が少しでも楽しくなればいいなと思います。

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この記事を書いた人

山森 彩加

東京理科大学卒業生の山森です。在学時は天文研究部でプラネタリウム解説をしていました。三鷹の国立天文台で展示解説をしたり、科学館で解説をしたりもしました。日常のなかに“楽しい”や“おもしろい”を見つけられるような何かを発信していければと思います。学士(理学)。

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