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株式会社JERA

「卒業したメンバーも近くにはいる」

――QuizKnockが長く続いていくことで、メンバーの入れ替わりもありました。組織としては避けられないものではありますが。

伊沢 そう考えると、初期のころからいるメンバーはかなり残ってるなと思います。それに、QuizKnockを卒業したとしても、みんな近くにはいるし。やっぱり共通の趣味があって、同じ世界にいるからですかね。

伊沢 何度となく危機的な状況はあったけど、それでもみんな、いいやつだったんだよな。「いいやつ」っていうのが抽象的すぎるけど、自分でできることは自分でやろうとする責任感があって、それを続ける人たちだった。

結果的にたくさんのメンバーが今ここにいることの源泉を考えると、みんないいやつ、ということに尽きると思います。声をかける相手を間違えなかったということに関しては自信があります

▲QuizKnockのTwitterアカウントより

伊沢 それに、僕はQuizKnockは「知の交差点」になってほしいって思ってるんですよね。いろんな人が交差点にやってきて、議論したり、落書きしたり、何かを得て帰っていく。そうやって文化を醸成する場所にしたいと思っていました。

QuizKnockに関わってくれる人たちはみんなおもしろい人たちばかりだし、しかもそのおもしろさの種類が違うから、交差点が充実してきたっていう感じが今はしますね。

衣川との出会い「クイズ業界に新しい風を入れてくれた」

――こうしたQuizKnockの立ち上げについて、株式会社baton社長の衣川さんとの出会いが大きかったという話がありました。衣川さんは普段あまりメディアには登場していませんが、伊沢さんにとってはどんな人ですか。

伊沢 QuizKnockのメンバーにとって、衣川さんは社会との接点を作ってくれた人ですね。僕たちがやっていることを「それはもっと評価されるべき」と言って、社会からの目線として教えてくれた。「社会の窓」って言ったらちょっと変な響きになっちゃうけど、クイズ業界に新しい風を入れてくれる窓のような存在です。

伊沢 もともと衣川さんとは水上(颯。初期のQuizKnockや「東大王」などで活躍)の紹介で食事に行ったときに初めて会ったんですが、そこで僕が考えていた情報の氾濫にまつわる問題やクイズが引き出す能動化について話したら、「それは外に向けてやったほうがいい」って言ってくれたんですよ。

衣川さんって、人に「いけるんじゃない?」って思わせるのがうまいんですよ。しかもスピード感がすごくて。その会がきっかけで、だいたい2カ月後にはQuizKnockを立ち上げていました。

崖っぷちから「クイズとメディアってありやな」

――せっかくなので、ここからは衣川さんにも同席してもらいます。社内ではおなじみのツーショットではありますが。

衣川 どうも衣川です。

伊沢 懐かしい話をいっぱいしてましたよ。

伊沢 今日もQuizKnockパーカーじゃないですか。

衣川 もちろんですよ。お気に入りなので。

――衣川さんサイドからのQuizKnockの話を聞きたいです。衣川さんは伊沢さんと出会った当時、どんなことをしていたのですか?

衣川 僕は2013年に「baton」という会社を立ち上げて、教育にまつわるサービスやクイズのソーシャルゲームを運営していました。勉強って苦しいイメージが強いけど、もっと楽しくできるんじゃないかと思っていろんなことをしていました。

だけど、力を入れてやっていたクイズのゲームがうまくいかなくて、いろんな人に「もうやめときな、会社もたたんだほうがいいんじゃないか」って言われていたというのが伊沢と出会うちょっと前ですね。

――かなり崖っぷちの状態だったんですね。

衣川 そうです。それで最後に相談した人に「もうよく頑張ったよ」と言われた帰り道に、会社をたたむ話を社員にどう説明しようかと考えてたんですよ。「やめたら何するんだろう。クイズが学びを変える良い手法なのにな」って。

その電車の中で「クイズとメディアの組み合わせってありやな」って思いついたんです。もともと別のサービスでクイズ制作を依頼したことがある水上に「東大でクイズやっているおもしろいメンバーを集めてほしい」ってお願いしたら、そこに伊沢がいました

伊沢 銀座のイタリアンでしたよね。当時ひもじい思いしかしてなかったから、うまかったなぁ。

――そこでの伊沢さんの第一印象は?

衣川 まずすごいのが、そこで伊沢は遅刻してきたんですよ(笑)

伊沢 そうでしたね(笑)。

衣川 でも、そのときの笑顔がよかった。気のいいやつなんだろうなと。周りにも気を遣っていたし。クイズがめちゃくちゃ強いのに偉ぶらないし、話もおもしろいし、リーダーシップもあるなと。

「クイズ界に恩返ししたい」に共感

――そこからWebメディアの立ち上げに至ったのは?

伊沢 2回目に会ったとき、パクチー餃子を食べながらですよね。そこでメインアイディアを固めました。衣川さんには「クイズのメディア」というアイディアがあって、自分には「能動化とファクト」という狙いがあって、それが合致して「できるじゃん」って。

――お互いのやりたいことが一致したんですね。

衣川 最初に会ったときに、やっぱり伊沢は「おもしろいことをやってくれそう」と感じたし、なによりも「自分を育ててくれたクイズ界に恩返ししたい」という言葉が大きかったかな。

伊沢 その気持ちはずっとありますね。

衣川 それがめっちゃいいなと思って。そのとき、伊沢は「クイズというものが安く扱われてしまう」ということに危機感を持っていたのも印象深かったね。

伊沢 「クイズを作る仕事」に対する報酬の相場ってすごく安いんですよね。高度なスキルや知識が必要なのに、お金にならないから、続けようと思ってもいずれ難しくなってしまうんです。だから衣川さんに「少なくともこれくらいは払えないと」という話をしたら、「わかった」って即答したんですよ

正直、それまではメディア設立の話もちょっと悩んでいたところもあったんだけど、じゃあそれはもうGOだわ、と

衣川 そこだったんだ(笑)。

伊沢 そうなんですよ。良いものにお金が回らないから良いものができないっていうのは本当によくあることなので。これはどの業界でもそうなんじゃないかなと思いますが。

――そこで衣川さんが即答したのはなぜ?

衣川 まず第一に、彼らに気持ちよく働いてほしいなっていうのがありました。サービスって、それを作る人のクリエイティビティがすごく大事じゃないですか。だから、金銭面では不安なく働いてほしかった。

伊沢 ちなみに、それから1カ月後くらいかな、僕がお金がない時期だったから「電気が止まりました」っていう話をしたんですよ。そしたら衣川さんが超笑いながら「大丈夫大丈夫! 俺なんか〜」って言って教えてくれた借金がビビるくらいの額で(笑)

衣川 あのときはそうだったね(笑)。

伊沢 よく俺たちに「払う」って即答したなと(笑)。でも、笑いながら話してたのが衣川さんらしかった。

「彼らの“おもしろい”を突き詰めてほしかった」

――立ち上げ当時、実際のメディア運営はどんな体制だったんでしょうか?

衣川 自分が口を出したのはスケジュールと「学びを変える」という大まかな方向性だけ。あとは存分に彼らの“おもしろい”を突き詰めてほしいなと。でも、自分たちでハードル上げてたよね? 俺は「スタートは記事が10本あればいいんじゃね?」って言ったのに、伊沢たちが「いや20本必要です」って言うから

――そこで伊沢さんの家での会議につながるんですね。

伊沢 俺からすると、衣川さんは見立てが甘かったです(笑)。衣川さんが作ったサンプル記事を見て、「コンテンツは任せられねぇ!」と思ったから。むしろ、コンテンツは俺たちの手の中にあってよかったなと思います。

衣川 あれは「こんな感じ」っていうイメージを伝えるために間に合わせで作ったやつだから、みんなが作ってくる記事がレベル高すぎて、「ここまで作り込んでくるんだ」という驚きがあった(笑)。サイトオープンして数日で河村の水族館の記事とかが出てるわけで。

伊沢 オープンしてからも大変で、だんだんみんなオフィスに半分住んでるような状態でやってましたね。あと、いると飯が食べられる(笑)。

――伊沢さんの思い出、食べ物と一緒に語られがちですね。

伊沢 そんな状態だったから、YouTubeでも配信の裏で衣川さんが寝てて、起こさないようにやってたときもありました。

衣川 だってあれ深夜2時くらいやろ? 人が寝る時間やん。

伊沢 それはありますけど(笑)。あとは、実は2回目の「東大主」に出てくるオムライスは衣川さんが作っていたという……。

▲「【東大王リスペクト企画】東大主2nd〜天才が簡単なクイズを解いたらこうなった〜」より

衣川 そんなこともあったね。

――それくらいみんなの近くにいたのに、衣川さんは表にはあまり出てこなかったですよね。

衣川 実際にコンテンツを作っているのは彼らなんで、自分は裏方でいいやと。自分は社会に相対して、彼らがしたいことができるように動くのが仕事だと思っていたので。

伊沢 衣川さんと一緒に教育系のカンファレンスに出たことはありましたけどね。社会と僕らの活動をつなげて、バランスを担ってくれていたのが衣川さんです。

次ページ:QuizKnockとbatonの関係「このタイミングでちゃんと説明したかった」

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