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株式会社JERA

QuizKnockのYouTubeチャンネル開設から約6年、2023年3月10日に登録者数が200万人を突破しました。

2016年10月にWebメディアとして「QuizKnock」を立ち上げて以来、サービスの屋台骨を支える伊沢拓司。そんな彼に、改めてQuizKnockの「これまで」と「これから」の話を聞きました。

記事後半では、設立当初から伊沢と並走してきた株式会社baton社長の衣川きぬがわ洋佑ようすけも登場し、QuizKnockとbatonの関係と、設立当時の思い出などを振り返ります。

登録者数200万人突破「我々自身を追い抜いていかないと」

――3月にチャンネル登録者数が200万人を突破しました。今の思いを教えてください。

伊沢 まずは達成できて本当にうれしいです。いつも応援してくださっている皆さんには感謝しかありません

伊沢 これはずっと前から、それこそ登録者数が20万人くらいのときから同じことを話してるんですが、我々もいち学習者であり皆様と同じ立場である、と。そして、その我々の成長の糧は、応援してくださっている皆さんの中にあります

だから、200万人という数字となって成果が見えるのも大事だけど、そのなかのひとりひとりのことを大事にしていきたいと思って活動しています。

――200万人達成した夜にTwitterに投稿していた動画も印象的でした。

伊沢 その動画でも話しましたが、QuizKnock一同として「やってやったぞ!」というよりは、「ここはまだ通過点である」という気持ちが大きいかな。

▲「登録者200万人&雑学200個達成するまで終われませんライブ【Day2】」より

伊沢 QuizKnockのコンセプトである「楽しいから始まる学び」を実現するために、よりおもしろいものを追求して作っていたらたどり着いていたという感覚があります。なので、ここから先は我々自身を追い抜いていかないと、と感じてますね。

「クイズで食っていけると思ってなかった」

――通過点ではありますが、ひとつの節目として、これまでのQuizKnockについて振り返っていきたいです。サービスを立ち上げたのが2016年ですが、当時は今の状況を想像できたでしょうか?

伊沢 想像できたかという度合いでいうと、本当に0%全く想像できませんでした

高校生のときからクイズでメディアに出る仕事をしていましたが、将来クイズで食っていくことはないだろうと思ってたんです。それは諦めとか、他にやりたいことがあったとかではなく、シンプルにクイズ界を取り巻く状況を知っていたから。

伊沢 上には素晴らしい先輩たちがたくさんいますし、そもそもクイズをする人口が多いわけではありません。そんななかで、僕がクイズ市場に入っていけるほどの需要はないと思ってました。

――それでも、伊沢さんはクイズに関わり続けていましたよね。

伊沢 中学生のころから、この競技を取り巻く状況を変えるには仲間を増やすしかないと感じてました。中3のときに、高校生向けのある全国大会でチャンピオンになったけど、参加者は70人くらいしかいないわけです。強いクイズプレーヤーは周りに多くいましたけど、あくまでそれがかなり限られた世界での話であることにもどかしさがあったんですよね。

▲中学生の頃の伊沢(右端)。中央は伊沢の2年先輩であり、QuizKnockメンバーでもある田村正資

伊沢 だから、中学・高校・大学と、クイズの普及にはかなり力を入れてました。最初は自分の学校のクイズ研究部を維持するところから始めましたが、積極的に大会を開いたり、「高校生クイズ」の会場に早押しボタンを持っていって、休憩時間に地方から来た参加者とクイズしたりしていました。そのなかにふくらさんがいたんですけどね。

「僕ができる社会貢献ってなんだろう」

――そんな伊沢さんは大学生のときに「QuizKnock」を立ち上げるわけですが、当時はどんな状況だったんですか?

伊沢 大学に入学した後は研究者を目指していました。未知の分野を追求して自分の意見を論じるという行為に憧れがあったんです。

当時はとにかくインプットを増やしたくて、バイトに明け暮れて、バイトで得たお金のほとんどをコンテンツにつぎ込む生活をしてました。新聞は紙と電子版も契約していたし、渋谷のTSUTAYAで毎週のように10枚1000円のCDをレンタルしたり、Jスポーツも全チャンネル契約したりして。

――こうした蓄積が今の伊沢さんを形作っているともいえますね。

伊沢 そうですね。生活は厳しかったけど、どれを切っても自分じゃなくなるような感覚があって、やめられなかった。お金を食費に回せないんで、ファーストフード店で居座ったり、お店で「白飯」だけ頼んで食べたりしてました。

――そんな生活から、なぜ「QuizKnock」が生まれたんですか?

伊沢 もともと社会課題への意識は強かったので、「僕にできる社会貢献ってなんだろう」というのはずっと考えていました。

大学4年生のころ、情報の氾濫やフェイクニュースが問題視されるようになっていて。クイズに関わっている人って、情報の正確さにはすごく敏感なんですよね。クイズ大会を開催するにも問題の裏取り、いわばファクトチェックを徹底的に行うから。

クイズは情報摂取を受動から能動に変える、ただ読むだけの人に対して問いかけることで自分ごとにさせるツールだったので、そのあたりも含めて社会課題を解決しうる「クイズを用いたメディア」の可能性を感じていました。

伊沢 そういう考えがずっと頭の中にはあったんですが、大学院の院試のための勉強を始めると、バイトに入れなくなって、いよいよ生活が困窮しました。そんなときにbatonの衣川さんに出会ったのが、QuizKnockの始まりですね。

QuizKnock立ち上げ前夜、3人の徹夜会議

――衣川さんとの出会いについては後ほど聞きますが、Webメディア「QuizKnock」の立ち上げを決めたあとはどんなことをしていましたか?

伊沢 正直、Webメディアの立ち上げが決まったものの、何も動き出せていなかったんです。2016年10月にサイトをオープンする予定だったのに、院試もあり9月までほぼ何もしてませんでした。とりあえずメインの2人は集めた、くらい。認識が甘かったとしか言いようがないです。

クイズを使って情報を発信することで学びを能動化する、ということは決まっていたんですが、何にせよ人手が足りない。ライターを増やすためのリクルーティングと、あとはとにかく記事が必要でした

▲開設当初のWebメディア「QuizKnock」

それで忘れもしない9月21日、深夜に僕の家に川上(拓朗。元QuizKnockメンバー)と河村(拓哉)を集めて会議を開きました。河村はクイズ研究会の本を出したときに編集の経験があったし、川上は衣川さんを紹介してくれた1人でもあるから、「何をやりたいか」という共通認識を持っている2人でした。

その会議で朝の4時くらいまで、毎週の掲載ローテを決めながら、その場でクイズを作りました。確か、最初の常識Knockの30問はその場で作っているはずです。QuizKnockの原型がそこでできました

――すごい馬力ですね。

伊沢 そこから年末くらいまで、実はあんまり記憶がないんですよね。新学期も始まって、記事制作も忙しすぎて。ほぼ唯一覚えているのが、徹夜で記事の編集とサイレンススズカの記事の執筆をして、そのままクイズ大会のスタッフをしていたんですが、大会の途中で寝てしまって怒られたことですね……。

「魂かけてやってくれる人たちが集まった」

――そこから6年半。サービスとして大きくなったQuizKnockですが、どんな変化を感じていますか?

伊沢 変化しかないです。自分が成長する以上に、コンテンツが成長するスピードが早いから。ときどき、講演会に招待されて話していても、これが俺の実力なのか、QuizKnockの人気なのかがわからなくなるときがあります。逆に言えば、自分の小ささを感じるたびに、QuizKnockが大きくなったことを感じる

――今でも戸惑いはあるんですね。

伊沢 あります。一方で、一緒にQuizKnockのサービスを作る仲間も増えたことで、もともとやりたかったファクトの担保、正しさと楽しさを両立するという強みはすごく強化されたと感じてます。

たとえば、最近だとWebメディアでディレクターの高松の連載が始まったり、動画編集のたくみや開発のZiphilが登場したりしてますが、他にも動画に出てないけど活躍している人たちがたくさんいます。普段自分は彼らと一緒に過ごしているから、表と裏というような意識もないんですけどね。動画に出演している人が偉いわけじゃないですし。QuizKnockを支えている人たちに注目が集まることは素晴らしいことだと思います。

▲「激闘!「QuizKnock放送中 LIVEでクイズバトル」オフィシャルレポート」より

伊沢 いま、QuizKnockのコンセプトにしている「楽しいから始まる学び」は、動画のコメント欄をヒントに僕が言語化したものなんですが、このコンセプトと「正しさと楽しさ」は変わらず追いかけてきたつもりです。そういったものが明確になったうえで、そこに魂をかけてやってくれる人たちが集まったので、体制としても盤石なものになったと思います。

次ページ:「卒業したメンバーも近くにはいる」伊沢が考えるQuizKnockのあり方

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